我がブルー

「家賃払ってください」

 

困ったな、どうしよう。私は頭を抱えた。

「私は契約していません」

そう言うと、彼は顔を赤くして言った。

「そんな嘘は通用しません、あなたが住んでいることは把握しましたし、家賃滞納も事実です」

「あなたが大家なんでしょうか?」

私はおそるおそる聞いてみる。

「そうですが…あなた、住んでいるのにそんなことも知らないのですか?」

今度は哀れむような目で見られた。

「いやすみません。私はなんというか、責任者?じゃなくて…家主ではないものでして」

「おや?そうだったのですか。では、家族の方?」

「うーん、そんなようなものです」

これで何とかなりそうだ。と安心すると。

 

「では立て替えてくださいよ」

と書類らしきものにサインを求められた。いやいや、払うなんて無理だ。

そもそも現状を理解しきれていない。

「ここの家主、全然家賃払わなくて困っているんです。

何度も連絡しているのですが、返事がめっきり返ってこなくて

色々試しているのですがさっぱり」

「そうだったのですか…」

 

 

そりゃそうだこんな大家知らないのだから。

「それにしてもここの家主にはこまったものですなぁ」

「はぁ…なんかすみません」

「連帯保証人はいないんですか?」

「はい…その辺よく分からなくて」

彼はあからさまに困った顔をした。このままでは埒が明かない。

「で、家賃というのは?いくらなんでしょうか」私が聞くと

「それは払う気になったということですか」

「一応聞いてみようと」

 

すると彼は計算機のようなものを取り出した。

「そうですね、換算すると遅延損害金も含め一京三千九百兆円になります」

 

唖然とした。そしてやや小さな声で尋ねた。「…本当に?」

「はい、一度も払いにきませんでしたからね」

「契約書や規約はどこにあるんでしょうか?」

「電波で送りましたよね」

「分かんないですよ、そんなの」

「払わないと契約解除しますよ」

「小額ずつ払うということでは…」

「それはあなたが、ここの責任者になるということですか」

「とりあえずの」

場当たり的な回答をした。

もう仕方ない、こうなっては後のことなどどうでもいい。

「わかりました、新規に契約書を作りましょう。

滞納した分はきちんと払ってもらいますがね」

彼は満足そうな笑顔を見せた。

「何十億年と家賃を滞納してきたので、よろしくお願いしますね。また滞納したら侵略しますよ」

宇宙人は笑みを見せた

 

 

 

私は宇宙船に戻るとまたもや頭を抱えた。

未知との遭遇を果たしたと思ったら、多額の借金を抱えてしまった。

地球に帰って伝えないとな。

「銀河第五百八十地区太陽系第三番地12700地球。家主 石島次郎」

私が地球という物件の所有者になってしまったようだ。

我が地球

「…ブルーな気持ちである」

…。