平和のモデル

「リンゴをきっちり平等に分けよう」

私たち3人は首をかしげた。どこから手にいれたんだそんなもの。

 

いやなんてことはない。だだそこにあったのだ。

「リンゴは十個あるから3つずつもらって、あと1つは3等分だな。」

私がそう言うと、2人目が不満を漏らした。

「あ?なんでお前が仕切っているんだよ」

「いやいや、解決策を述べただけでしょう…そんなにつっかからないで下さい。」

私が言うと、

「でもよお、1つのリンゴを3等分って思っているよりも難しいぞ。」

2人目がそういうと3人目もうなずいた。

「本当だ。切り方をいろいろ考えてみましたが、誰かが多くなりますね。」

 

ならば、と私は10個の中の1つを取り、遠くに向かって全力で投げた。

「どうです?これでリンゴは9個。3つずつもらいましょう」

しかし、私の思いとは裏腹に2人はとても怖い顔をしていた。

「なんてことをしてくれたんだ。こんな…1個まるまる無駄にするなんてよぉ」

2人目に続き3人目も言う。

「それにリンゴは1つ1つ形も大きさも違う…たとえ1つなくなったとしても、3つずつもらう際にきっちり平等になるというとそんなことはない。これでは均等に分けられないじゃないですか。」

 

私は崩れ落ちた。

…なんてことだ、私は間違いを犯したのだ。

これでは3人とも幸せにはなれない…。

ああどうか、もう1度チャンスを!…。私は心の中で叫ぶ。

「でもよぉ、1つのリンゴを3等分って思っているより難しいぞ」

2人目が言った。

おや?なんということだ。

先ほどと同じように、リンゴが10個ある。

まさか本当に過ちを犯す前に戻ったというのか!

そしてチャンスを乞うた際、私は名案を思いついていたのだ。

私は10個のリンゴを次々とミキサーに放り込み、次々とジュースにしていき、同じサイズのジョッキに3つ均等になるように注いだ。

しめしめ、2人ともぽかんと見ている。こんな方法考えもしなかっただろう。

「どうです?均等になりました。みんなで乾杯しましょう!」

私が、自信を込めて言う。

すると2人目が顔を真っ赤にした。それはもうリンゴのように。

 

「俺はリンゴがほしかったんだ!リンゴジュースなんていらない。よくもやってくれたな!」

男の凄みのある声に私は驚いた。

「いや、これなら…平等に3等分になると」

「もう、リンゴじゃないだろ。コレ!」

2人目はひざまずいた。

「それにこれでは今飲め。ということに…」

3人目も残念そうにジュースを見つめた。

 

しまった…なんてことだ。私は私の思いつきを信じすぎた…

また過ちを犯してしまったというのか。

私はまたまた崩れ落ちた。

チャンスを!もう1度チャンスを!!

「そういえばあなた方は独り身でしたよね。

わたしは妻と子供がいます。なので、わたしが4つ貰えばいいのでは無いでしょうか?」

3人目が私に言った。

「なるほど、各家庭の需要で平等にするということですか」

私が言うと

「なんだよそれは、そんなこと言ったら、体が大きくて重労働する俺こそ、多くもらうべきだ」

2人目が不満そうに言った。

「ちょっとまって、皆さん。それでは私が少なくなってしまう!」

もみあいが始まった。

ああ、もう1度チャンスを!

「へへへ、お前らがいなくなれば俺が10個もらえるぞ!ワハハハハハ」

事態はどんどん悪くなっていく。

私は何を間違えたんだ??

もう1度、もう1度だけ最後のチャンスを…

目を開けるとリンゴがちゃんと10個あった。

私は言った。

「みんな、これを埋めるんだ!

きっと実がなり、やがて今よりももっと多くのリンゴが手に入る。みんなでこの木を1日交代で大切に育てていこうじゃ無いか!!」

私は言った。

すると2人は私を見つめると

「おおお!」

と歓声を上げた。

「なるほど、木を育てれば、今よりももっとリンゴが手に入るし、誰かが多くもらうということも無くなる。

すばらしいぞ!

私たち3人は種を土に植え、輪になって踊り明かした。

「とまあ、このようにして今までこの木は大切にされてきたのじゃ…

それじゃあ今日はここまで。みんな気をつけて帰るんじゃよ。」

紙芝居を終えると、帰っていく子供たちの背中を見ながら、老人は木陰に入った。

「さてと…今日もワシの木は元気じゃのぉ。ホッホッホ」

じいさんは1人で笑った。