第六食

06道徳


子供の頃、

小学生が飼育していた豚を出荷して、肉になって戻ってきたという映画を見たことがある。

その学校の教育だったのだろう、当時の自分が初めて命について考えたことをよく覚えている。

「いただきます」の意味を知ったのもちょうどその頃だった。

人間が食物連鎖の頂点に立ち、いろいろな動物の命を食い漁っている現実に、その当たり前の現実に傷ついてしまったのだ。

「その教師たちを責める必要はありませんよ。だってその話小学生が討論会開いてその結果が(自分たちで食べる)それだったのでしょう。」

前を歩く蓮さんが僕の小言にのってきた。

「いい勉強じゃないですか、私たちは動物を殺して生きている。

倫理がどうなの、教育がどうなの言っている方は放っておけばいい話ですよ。どうせその方たちもこの話題が上がるまで気にもしていなかったでしょうから。」

「でも、トラウマになったりするだろ」

「するでしょうね、なればいいじゃない。肉を食べなくても生きていけるのですから。特に日本人はね。

選択ですよ、現実を受け入れてありがたく頂くか、不殺生を貫いてベジタリアンになるか」

そしてあんたは、現実を受け入れ、あろうことか人まで殺すのか。

訳がわからない。

「もうすぐですよ、ついてきてください」

蓮さんが小声になった。

「やっぱり、長谷川さんも連れて来るべきだったんじゃ」

「あの人まだ動けませんもの、それに牢のドアは開けてあります。気がついたら自力で脱出しますよ」

「あのさ」

「何でしょうか?」

「いや、なんでもない」

 

「着きましたよ、この部屋に京子様がいらっしゃいます」

「京子!」

扉を開くとか細い声が聞こえた。

「ごめんなさい、もう許してくださいお願いします。アキラを殺さないで」

京子?」

朝方の光で照らされた薄暗い部屋だ。

その隅に彼女はいた。

何かに怯えるように縮こまっている。

「アキラくん

「ああ俺だ。」

「ごめんなさい私は

「もう大丈夫だ。一緒に逃げようこれが最後のチャンスだ」

京子の手を掴み立たせる。

「あと、二時間ほどで皆さん起きられます、急ぎましょうお嬢様」

「蓮さんあなた」

「裏口から外に出る道を教えます。管理室に鍵を取りに行きましょう」