03奇怪なディナー
ベンツが家の策を通り過ぎると屋敷が見えた。
蓮さんがドアを開けてくれる。
京子から話は聞いていたがこれほどのものだったとは。
「美島家へようこそ 【平沢】くん」
ユリエさんが素敵な笑顔をこちらに向ける。
…今俺に言ったんだよな。
蓮さんたちに続いて歩き出そうとした俺を京子が止める。
「本当は来て欲しくなかった、これから先大きな衝撃を受けると思うけど、お願い。出来るだけ平然を装って…」
耳元で囁かれた。
「それってどういう」
俺の言葉は蓮さんによって遮られた。
「こちらですよ、お二人」
手を大きく振り俺たちを呼ぶ。
「あっ今行きます」
俺は手を振りかえす。
それにしても京子は何を言っているんだ?
お金持ちならではの文化の違いがあるのだろうか?家の中では服を着ないとか?
「ただいま戻りました。」
「お待ちしておりましたよ」
なんと言うか、一流ホテルのエントランスのような。
天井から美しい紅梅色の証明が降り注いでいる。
迎え入れてくれたのは優しそうな女性と可愛らしい女の子だった。
「こちらがお母様、でそこの子が妹のアイナよ」
みたところ、四、五歳だろうか。ぎこちないお辞儀を見せてくれた。
「あのお母様、アキラは夕食を食べていかないの。帰りが遅くなっても、あれだし…ねっ」
「え?いいじゃない、せっかくなのだし、ご両親にはこちらから連絡しておくから、ゆっくりしておいきなさい」
「はい、ありがとうございます」
俺はお辞儀をした。
京子は肩を落とす。
「ママ、おやつ」
美島妹が指をくわえ、こちらを見つめる。
「おやつはさっき食べたでしょ〜もう」
美島母は微笑んだ。
美島妹がこちらを凝視している。
口元を裂いてにんまりと笑う顔はなんと言うか、ぞっとした。
「食事の準備は整っております」
部屋の奥に向かって行った蓮さんが戻ってきた。
そこにいた皆は顔を上げ笑顔を見せた。だた、顔を真っ青にした京子を除いて。
蓮さんとその他の使用人さんたちが食事を運んでくる。
変わった匂いだ
生暖かい重量感のある匂い。
胃の奥まで伝わってくる。
京子のお父さんは意外に気さくな人だった。
「それでは若い二人に乾杯」
グラスを鳴らす。
「落ち着かないわねぇ、彼氏の前で
緊張しすぎよ、キョウコ」
「あっあはは。私ったら」
京子の行動に違和感を覚えつつ、スープをすする。
この肉はなんだ。やけにとろみがある。
「いかが?」美島姉が聞いてきた。
「そうですね、初めて食べる味です。いけますね!」
美島姉はきょとんとした顔をした。
何か失礼なことを言ったか心配になり、京子を見る。
京子、なんでそんな顔をするんだ。
なんでだ、まるで余命が迫る肉親を見るような
蓮さんが大きい鍋を引いてきた。
「では、本日のメインディッシュ
人肉の鍋です」
さっきのスープに何か浮かんでいた。人の歯だった。
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にしひろ (金曜日, 26 9月 2014 18:55)
初見です。
ぞくぞくしましたw
ひき肉、、、。ゴクリ
続きか楽しみです!