第二食

02招待


放課後

 

 

 

 

校門に見慣れたメルセデスベンツが止まっていた。美島宅のものだ。

 

「あれ、今日は一緒に帰れるんじゃなかったっけ?」

 

俺が聞くと京子は驚きを隠せないのかブルブルと震えた。

 

「そのはずだったのだけど

 

ベンツから二十代くらいのスーツの女性が出てきた。

 

「お嬢様お迎えに上がりました」

 

「蓮さん、今日はいいって言ったじゃない!」

 

こんな顔の京子は初めて見た。

 

相当焦っているようだ。

 

「しかし御父上様が危ないから送りなさいとおっしゃられたので」

 

蓮さんと呼ばれたショートカットの女性が少々困り顔になる。

 

「お父様

 

「京、早く乗ってよ〜」

 

ベンツの窓が開きもう一人女性が顔を出した。

 

こちらは京子にそっくりだ。特に目元が。

 

「お姉さまも乗っているの!?」

 

「まぁね〜あら、そちらは」

 

京子姉が俺に気づいたようだ。

 

しまった。他の生徒に混じってこの場を去るべきだったか。

 

「この人はその、あの

 

京子の耳が赤くなる。

 

よせ京子、お前に嘘は向かない

 

「あ〜もしかして彼氏くんですか!あ〜なるほどなるほど

 

そうだ、あんたも乗ってく?」

 

「まじですか、俺は別にいいけど

 

「だめ!」

 

京子に遮られた。

 

「えーいいじゃん一緒に夕食頂きましょうよ〜」

 

舐めかけの某キャンディーをぷらぷらと振りながら京子姉がこちらにウインクしてきた。

 

「だって、今日はアキラ用事あるもんね!」

 

「え?あったっけ」

 

……。」

 

なんと言うか、空気を読めなかった。

 

 

 

ベンツの中。運転席には先ほどのメイド。蓮さん、助手席には京子のお姉さん、後ろに京子と俺。

 

贅沢なスペースに身を任せ俺は美島宅へと向かう。

 

いやまて、流れに任せていたらこんなことになってしまったが大丈夫なのか?

 

記念すべき御宅訪問をデートの前に済ませてしまうとは

 

そもそも京子は家族が厳しいから俺の事は秘密にしているという話だったはずだが

 

怒るどころかウェルカムじゃないか?

 

「私はユリエ、京子のおねぇちゃんで〜す。よろしく彼氏くん」

 

「えっと、よろしくです」

 

「そんな硬くならなくていいよ〜。こっちが蓮さんね。」

 

蓮さんは運転したまま軽く会釈した。

 

 

 

ベンツに乗ってから京子はずっと俯いたままだった